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改正消費税~10%になる前に知っておきたい事~

10%になる前に知っておきたいインボイス制度

H31.3,4月FACEBOOK投稿分より

今回の消費税改正は、相手が課税事業者かどうか関係なく、領収書に消費税額が書いて有ろうが無かろうが、形式上は証憑の保存は義務づけられてはいるものの、実務上は帳簿から税計算が出来てしまう従前の「ラフ」な日本の消費税法を諸外国の付加価値税のような証拠重視の法律に近づけようとするものです。

これは租税政策としては実に合理的だと思いますが、これまでの「ぬるい」税制から一気に転換するのは些か酷な改正だと思われ、だからこそ何年も掛けて税制のインフラストラクチュアを再構築しようとする動きになったのでしょう。

インボイス制度

今回の消費税改正の根幹部分ともいえる「インボイス制度」に向けた今後の動きについて解説して行くことにいたしましょう。なお、請求書を発行せず、領収書のみを発行する場合にも以下の必要事項が準用されます。

請求書形式変更は、事業者なら10月の改正消費税法施行に向け、直ぐにでも取り掛からなければならない事項です。

まず、施行時期に合わせ、それぞれの請求書に必要とされる記載事項を簡単に見てみましょう。

 現行の請求書(2019930)
・発行者の氏名または名称  
・取引年月日
・取引金額
・書類交付を受けるものの氏名または名称

 区分記載請求書(2019101日~2023930)

上記に加えて
・軽減税率対象品目である旨
・税率区分ごとの合計請求額

 適格請求書(2023101日~)

上記に加えて
・登録番号
・税率区分ごとの消費税額等

徐々に記載項目が増え、最後は「登録番号」が必要になります。これについては後で詳しく書こうと思っていますが、この一連の改正によって一定の免税事業者は営業上壊滅的な打撃を受ける事が予想され、特に変革について来られない年配の免税事業者等の多くが廃業を考えるであろう事が容易に想像され、そのことを私は危惧しています。

区分記載請求書等保存方式

いよいよ今年(2019)10月から「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。

勿論その狙いは202310月に導入が決まっている「インボイス方式」に向けて徐々に紙ベースでの証憑(1)保管を浸透させ徹底させて行く事で、最初のうちは取り扱い等も厳しくなく、様々な宥恕(2)規定が設けられています。

1,証憑(しょうひょう)
…領収書、請求書、航海日誌その他証拠書類のこと
2,宥恕(ゆうじょ)
…これ位のことは大目に見ましょう,のような意味

記載しなければならない事項は次の通り、対応するPOSレジやAIレジが無いと完全に対応する領収書を作るのは本当に面倒。特に、税率の違う商品を売るお店では何らか電子化が必須といえるでしょう。領収書を受け取る方でも、経費にしようとする場合には分けて記帳する必要があります。

 現在の請求書等に記載すべき事項

1)発行者の氏名または名称…発行者を特定するため住所等も入っている方が望ましい

2)取引年月日…領収書の場合は金銭等を収受した日

3)取引金額…円単位で記入する必要があります

4)書類交付を受けるものの氏名または名称…「上様」は氏名ではありませんね()

 区分記載請求書等の記載事項(追加)

5)軽減税率対象品目である旨…税率が二種類になるので、どれが軽減税率対象か記載する必要が生じます。

6)税率区分ごとの合計請求額…標準税率と軽減税率、それぞれの合計金額を記載する必要があります。

消費税法改正当初は様々な宥恕規定が設けられており、細かい内訳や合計に少しくらい記載漏れがあっても大目に見てもらえます。

ただ、各種宥恕は年々減って行きますので、POSレジ等を導入できない,例えば高齢者が営む小さい酒屋さんなどで発行された不完全な領収書では、消費税の仕入れ税額控除が認められなくなります。

そうなると事業者は不完全な領収書しか発行できない事業者から品物を購入することは無くなる、という悪循環が生じるでしょう。そして日本から免税事業者が消える!、、の下りは、そのうち書きましょう。

軽減税率対策補助金

ここまで記したように、今回の改正消費税は「インボイス制度」の実現までのロードマップを内包させるなど「作り込まれた」税法です。

流石、財務省や国税庁の賢い方々が本当に考え抜いた税法で、凄くよく出来ている反面、「えっ?」っと言うような部分に「抜け穴」が有ったりします(ここでは書きませんよw)

今回の改正消費税では多くの産業でPOSレジ等の導入が必須となるでしょう。

下記に軽減税率対策補助金申請用サイトSCを貼っておきますので、出来る方は御自身で申請されてはいかがでしょう?

POSレジ等の販売業者さんが申請の代行を行ってくれる場合もあるようで「自分で補助金申請するのは面倒」という方も一見をお勧めします。

役所名が見当たらないのですが、国税庁のウェブに「相談窓口」としてショートカットが掲載されていたサイトなので危なくはなさそうです。たぶん中小企業庁辺りが所轄なのでは無いでしょうか。

http://kzt-hojo.jp/

サイト内をご覧になれば判るとおり、各種補助金が用意されていますが、世の中は自分で補助金を請求してPOSレジを導入し、電子マネーポイント制度まで利用できる事業者ばかりではありません。

こういった点でも、今回の改正は大規模なスーパーやコンビニエンスストア、また電子化に対応できるマンパワーを持つ事業者が有利だと言われる所以でしょう。

※当事務所の社会貢献について

消費税関連で本当にお困りの零細個人事業主で特に高齢者の方については、原則無償にて補助金関連の相談や申請に対応させて頂きますので、遠慮無くお電話ください。

繰り返しますが、消費税の対応で困っている方や、自分で手続きが出来ないご老人限定です。

当事務所は「経営革新等支援機関」として関東経済産業局の認定を受けており、各種の補助金や助成金、また税控除や減免手続き等を行っていますが、補助金等は種類が膨大で請求対応期間が短いため、認定を受けている税理士さんであっても、実際に認定支援業務を行っている方の割合はかなり低いと聞きます。

ましてや、零細事業者の方ほど、税理士とは単に申告だけを依頼している程度の付き合いが多く、経営革新等支援機関である税理士であっても常に全関与先の機材購入予定をチェックし続けられる筈もありません。補助金等の受給については相談を受けてから動く、というのが原則。困っている誰かを助けたくとも「声を挙げて頂かないと判らない」のが現状なのです。

当事務所では以前より様々な無償相談や研修講師等の社会貢献活動を行って参りましたが、世間では「税理士が無償で動く筈が無い」と思い込んでいる方もいらっしゃるようで、営利業務に利用されそうになったり、自分でも出来る業務をタダでさせようとしたり、売名や営業行為のように扱われた事もあります。でも、該当する方には本当に無償で対応させて頂きますので、ご安心ください。

ただし、原則として切手などの実費はご自分で負担して頂く事と、ご依頼を受けるか否かは私が決めさせて頂くこと、これだけはお含み置きくださいね。

適格請求書当保存方式

次に適格請求書当保存方式について。

この制度が導入されるのは令和4年(2023年)101日になりますので、詳しくは書きませんが、特に免税事業者の方で、令和4年以降も事業を続けたいと思っている方は、是非知っておいて頂きたい事項です。

 適格請求書

以下は、適格請求書に記載する項目です。過去の「おさらい」も兼ねて記入すべき項目を挙げて行きましょう。

 現在の請求書に必要な記載事項

1)発行者の氏名または名称  
2)取引年月日
3)取引金額
4)書類交付を受けるものの氏名または名称

 区分記載請求書等

令和元年(2019)101日以降に追加
5)軽減税率対象品目である旨
6)税率区分ごとの合計請求額

 適格請求書等

令和4(2023)101日以降に追加される項目は以下の通りです。

7)登録番号

適格請求書施行に伴って,この「登録番号」が登場します。登録番号とは、課税事業者として税務署に登録され、税務署に付された番号を言います。そして、この番号が記載された請求書等を保存しておくことが、支払った側の事業者が消費税の申告時に仕入れ税額控除を受ける条件となっていると言うものです。

8)税率区分ごとの消費税額等

区分記載請求書等保存方式の時代には「税率区分ごとの合計請求額」の記載が要求されましたが、適格請求書等保存方式導入後は「税率区分ごとの消費税額等」の記載が義務づけられます。

なので、私としては今年の10月までに区税率分ごとの消費税額も合計額も計算できる体制にしておくべきと思っています。

 現行消費税法とインボイス方式の違い

現行の消費税法では、課税仕入れ等については各品目ごとの内容によって仕入れ税額控除を受けることが出来るようになっており、消費税を申告する事業者側には、「税額が記載された証憑」を保管する義務が有りません(証憑保管義務そのものが無いわけではありませんが)。つまり、会計帳簿から消費税申告書の計算を行うことが可能な制度設計になっており、様々な面で「後からの処理」が容易です。

また、現行法と区分記載請求書等保存方式においては、間違った記載をした領収書等は保存している方が加筆したり正しい処理に変更して記帳することが許されていますが、適格請求書等保存方式導入後は、それら書類を発行者に持ち込んで修正して貰う必要が出てきます。現実にこういうことが起きたときを想像できるでしょうか?税理士としては、証憑保存の杜撰な事業者さんの関与は慎重にならざるを得なくなると思っています。

それに比べ、インボイスは登録課税事業者だけが発行出来ることとなっており、この適格請求書等を取得し保存している場合に限り仕入れ税額控除が出来るという制度。帳簿からの消費税計算は一気に難しくなります。

この方式は証拠性は十分ながら、実務上は会計処理だけでは無く集計や監査が非常に面倒なため、あえて我が国では採用を見送ってきたものですが、この辺りの緩和のため、自動的に集計が出来るような定型フォームの採用を伴って施行され、続いて電子証明等に移行して行くと言うのが私の予想です。

適格請求書等保存方式と免税事業者

最後に、令和4101日に施行される改正消費税法における適格請求書(インボイス)発行事業者関連の概要と、その適格請求書等保存方式施行後に免税事業者がどうなるか?について書いてみます。

 適格請求書等発行事業者の登録制度

適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除額計算時に適格請求書が必要になりますが、この適格請求書を発行しようとする課税事業者は、所轄税務署長に「適格請求書等発行事業者の登録申請書」を提出して登録を受ける必要があります。また、免税事業者も課税事業者を選択したうえで申請書を提出することが出来ます。

このインボイスが無いと仕入れ税額控除は受けられません。こうなると、登録していない事業者から物を買うと消費税の仕入れ税額控除が受けられないなら、登録事業者から物を買おうという流れになるのは当然予想されることですね。

ただし、この制度は令和10(2029)まで段階的に適用されることになっているため、急に厳しい状態になる物では無く、また大きな混乱も無いと思われます。

 免税事業者の発行する請求書等

現行の消費税法では、免税事業者が発行した領収書であっても、品目によって消費税の仕入れ税額控除が受けられます。

しかし、適格請求書等保存方式開始(令和4101)以後は、令和7930日までは従来の80%しか仕入れ税額控除が受けられなくなり、以後令和10930日までは50%、それ以後は税額控除が受けられなくなります。

こうなると免税事業者から品物を購入しようという事業者は居なくなるでしょうから、事業者に向けた仕事をしている免税事業者は課税事業者を選択する例が増えると思われます。

例えば、小売業で年間売上1000万円未満という事業者は少ないでしょうが、フリーランスのカメラマンやライターなどで年収数百万円は珍しくなく、こういった方々は課税事業者を選択したうえでインボイスを発行するようにしなければ、企業から仕事を貰うことは出来なくなるでしょう。

現在は免税事業者も消費税を預かることが許されており、これを納めないで売上計上だけで済ませる「益税」が合法的です。これが、改正後は消費税を預かれず、各種経費に10%の消費税が付されるような「損税」に変わる可能性も大いに有ります。また、一般消費者向けの免税事業者の売上も、安い店を探す消費行動等により年1000万円以上となる例が増えることでしょう。

以上により、令和1010月以降は日本の免税事業者は絶滅危惧種となる、と私は予想しています。

最後に

当然のことですが、徴税等のために国民の所得や財産を包括的に把握しようとする取り組みは国家の体を成していれば必須といえます。

その中で、我が国は先進国の中でも最もシステム対応が遅れた国とされてきました。

その分、他国の失敗例を参考として作られ,さらに毎年改良され続けている、電子申告(e-TAXeL-TAX)、電子政府(e-Gov)、マイナンバー等の制度は良く出来ており、加えて財産債務調書、国外財産調書、その他の調書作成を高額所得者や富裕層に義務づけることで、徴税漏れ防止や国民の担税力捕捉などまで「踏み込める」システム構築が着々と成されています。

この辺り、平成初期の電子政府構想から、令和以後に予定されている消費税インボイス方式導入までのロードマップを見ていると、平成の時代性を感じ取ると共に、日本の根幹政策が今でも連綿と続いていることが見て取れ、また社会のシステム全てに整合性を持たせようとする「意志」が感じられ、日本の官僚の「やり遂げる力」の凄味を感じます。

「勉強しなくちゃ!」というところで、次回違うテーマでお目にかかりましょう!

所長 藤戸

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所長税理士 藤戸琢也

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