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本文中では平易に書くことを目的としておりますので、各種特例等を考慮に入れていない場合がございます。
また、法律条文を出来るだけ分かりやすくご説明するため、簡易な用語の使い方・表現の仕方をしております。
当事務所のFACEBOOKへの投稿の中から、マイナンバー制度運用開始後の現状に関することをまとめたページです。
平成28年から施行されたマイナンバー制度、現場では混乱することもあり、新しい制度に慣れるにはまだまだ時間がかかりそうです。
平成28年から施行されたマイナンバー制度ですが、年末になって大家さんや報酬支払先などから提供を拒否される事例が発生しているようです。
マイナンバー提供を拒む理由として多く見られるのが「そもそも提供義務がない」というもので、提供しなくても罰則は無く、条文にも「どうしても提供しなければならない」旨の記述が無いことから、あながち間違った認識とも言えません。
国税庁のHPには、マイナンバーの提供を受けられない場合について、以下のように取り扱うことを要請しています(一部略)
「マイナンバーの記載は、法令で定められた義務であることを伝え、提供を求め、それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておく必要があります。
経過等の記録がなければ、マイナンバー(個人番号)の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。
特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
要するに、「提供を拒否された場合は仕方が無いが、提供を受けられるよう努力しなかった場合は事業主の責任である」、と言う事になります。
出来れば本人から個人番号を提供しない旨とその理由を記載した書面を受けるなど、様々な工夫が必要かと思われます。
マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるもので、先進国のなかで日本が最も遅く導入した制度です。
感情論としては、自分の個人データを全て国に把握されることは面白い事ではありません。また、番号その他のデータが絶対に悪用されないという保障はなく、知識の無い方ほど不安感があるのも理解できます。
それでも、国民の安全や利便性のためには、より完全な身分確認をする必要が国家には有る、というなのでしょう。
住民票や印鑑証明書は、既にコンビニでマイナンバーカードを利用して発行を受けることが出来るようになっており、市町村役場での発行は自動交付機が廃止されて窓口対応だけになるなど、「利便性」を普及の鍵とする行政が始まっています。
数年先には、健康保険証とマイナンバーカードを一体化しようという案もあり、何れは「マイナンバーカードを持っていないと社会生活を送るのが不便」という時代が来ることは間違いないだろうというのが私の予想です。
また、マイナンバー提供を拒否する者に対する罰則は無いものの、税務署からの問い合わせや税務調査が増える、と言うのは当然起こりえるでしょう。
また、拒否された相手の支払調書に「番号提供拒否」を摘要に入れる事は必須では無く、関与先から調書作成を依頼された分は原則として記載せずに作成しますが、私の場合は後で税務署等に理由確認を受けるのが面倒なので記載して送信するつもりでいます。
行政の使う「アメとムチ」のうち、上手にムチを逃れてアメだけを手に入れるのは、いつの世も庶民の世渡りの知恵。上手に世間を生きるには知恵と情報が必要ですね。
【所長 藤戸】
万が一にも間違いが無いように、我々の業務は彼方此方の法律を確認しながら遂行しなければなりません。
で、今日気付いた省庁の混乱。
以下の内容は単なる揚げ足(と少々の愚痴)ですが、彼方此方に似たような混乱があると実務家は本当に困ります。
混乱事例が多すぎて書き切れないので、ほんの一例だけ書かせて頂きますね。
国税庁の考えるマイナンバーの取得禁止規定
国税庁のQ&Aでは「金銭等の支払時期において法定調書を提出しないことが明らかで有る場合には、個人番号関係事務は生じない事から、マイナンバー(個人番号)を取得することは認められません」と記されています。(下記Q1-7参照)
※法定調書とは所得税法などの規定により税務署に提出が義務づけられている資料で現在は60種類が定められており、給与所得の源泉徴収票もその一つです。
例えば会社役員の場合、年150万円超の方のみ源泉徴収票の提出義務が有り、例えば月給10万円の社長さんは提出義務が有りません。なので、マイナンバーは取得してはダメ、と言う事になりますね。
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/houteichosho_qa.htm
取得禁止が取得義務に変わる場合(国税庁)
同じくQ1-7の後半には、提出することを要しない法定調書の場合でも、提出は任意なので、提出するならマイナンバー取得は必要とされています。
要するに「提出しないのにマイナンバーを取得することはダメなのだから、提出義務が無くてもマイナンバーを取得したら提出してね。」と言いたいのかもしれません。
要するに、どっちやねんっ!(笑)
総務省の言い分
総務省のサイトではマイナンバーを使用する書類を列挙しており、その中には給与支払報告書(源泉徴収票と対を為す、殆ど同型式の書類)も含まれています。
上記1では取得することも禁止されていますから、税務署に提出しない場合は記入できないため違反となります。つまり、国税で任意提出とされている法定調書を全て提出しないと、地方公共団体にマイナンバーが提出できないため、「全て提出」が法的に義務づけられてしまった、と言う事になります。
全ての税法を網羅して調べても気付かないような部分に落とし穴が仕掛けられている、と言う状態ですね(笑)
※給与支払報告書は支給金額に関わらず給与を支払っている全員分を事業主が市区町村宛に提出する義務が有る書類です。
http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/mynumber_tax.html#J
要するに
給与支払報告書は全ての給与受給者分を市区町村に提出する必要があり、そこにはマイナンバーの記載も必要とされているので、国税庁の言う「取得することは認められません」は、大袈裟に言うと法律間の矛盾を禁じる憲法違反、と言う事になります。
実際には、国税庁が他の省庁のことを念頭に入れていなかっただけと思われますので、法定調書の任意提出を強制(!)されるような事は無い、と思います。
で、要するに
大山鳴動、鼠一匹。はーっ!無駄に疲れた!
【所長 藤戸】