住宅ローン控除について調べる前に知っておきたいポイント

R7.6月FACEBOOK投稿分より

本文中では平易に書くことを目的としておりますので、各種特例等を考慮に入れていない場合がございます。

また、法律条文を出来るだけ分かりやすくご説明するため、簡易な用語の使い方・表現の仕方をしております。また、本記事は住宅借入金等特別控除の適用有無を判断するものではありません。

個別の事案については税理士にご相談ください。

注意:住宅ローン控除は改正を繰り返しています。ここではR7年5月現在の制度についてお伝えしています。

変化している住宅ローン控除

「住宅ローン控除」と言う言葉は広く知れ渡るようになりましたが、改正を繰り返している事もあり、内容が分かりにくくなっているかもしれません。調べても様々な情報が出て来てしまい、必要な情報にたどり着くことが難しいのが現状です。

ポイントは『居住の用に供した年』です。(※居住の用に供するとは、実際に住み始め、生活の本拠として利用する事をいいます。)

居住の用に供した年によって利用できる制度が違います。控除期間が10年の場合や13年の場合があります。控除額も年末残高の1%の時期と0.7%の時期があり、住宅の条件についても違いがあり、『居住の用に供した年』が令和6年以降は、少なくとも認定住宅に該当しない新築住宅はローン控除が受けられません。所得要件にも違いがあります。

住宅ローン控除制度の控除期間は10年または13年あるため、例えば同じR6年の所得税に係る控除だとしても、10年前が『居住の用に供した年』で、10年目の控除を取る人と、最近新築を建てたばかりでR6が『居住の用に供した年』である人とは、利用できる控除制度が違います。『居住の用に供した年』によって制度が違う事を念頭に、その時々の制度を調べる必要があります。

最新の情報は、『居住の用に供した年』が最近の人向けの情報発信である場合が多いので、控除〇年目の人は特に注意しましょう。

 

変化の概要

それぞれの「移住の用に供した年」の住宅ローン控除の制度について、違いを比べるために控除期間と控除額の主な計算方法を表にしてみます。

居住の用に供した年

控除期間

各年の控除額の計算 (概要)

H27/1/1-R1/9/30 10年

年末残高等×1% (最大 50万円)

※住宅の取得等が特定取得以外の場合は最大30万円

R1/10/1-R2/12/31

13年

(10年)

【特別特定取得】年末残高等×1% (最大 50万円)

※特別特定取得該当外の場合控除期間10年

※住宅の取得等が特定取得以外の場合は最大30万円

R3/1/1-R3/12/31 10年

年末残高等×1% (最大 50万円)

※住宅の取得等が特定取得以外の場合は最大30万円

R3/1/1-R4/12/31 13年

【特別特例取得又は特例特別特例取得】年末残高等×1% (最大 50万円)

R4/1/1-R5/12/31 13年 【認定住宅】年末残高等〔上限5,000万円〕×0.7%
【特定エネルギー消費性能向上住宅】年末残高等〔上限4,500万円〕×0.7%
【エネルギー消費性能向上住宅】年末残高等〔上限4,000万円〕×0.7%
R6/1/1-R7/12/31 13年 【認定住宅】年末残高等〔上限4,500万円〕×0.7%
【特定エネルギー消費性能向上住宅】年末残高等〔上限3,500万円〕×0.7%
【エネルギー消費性能向上住宅】年末残高等〔上限3,000万円〕×0.7%

これだけを比べてみても、控除額の最大金額が減り、控除を受けられる住宅の要件は厳しくなっている事が分かります。控除期間は10年から13年に、多少長くなっていると言えますが、全体としては控除される額は減っていると言って良さそうです。

現在のローン控除

R6年以降の住宅ローン控除について少し詳しくみてみましょう。

R6年以降の住宅ローン控除は住宅ローンを利用して住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、最大13年間、各年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税額等から控除する制度です。

借入限度額(住宅ローン控除対象となるローンの年末残高の上限)と控除期間は以下の通りです。

■新築住宅、買取再販住宅…控除期間13年

長期優良住宅 低炭素住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯 5,000万円 その他の世帯 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯 4,500万円 その他の世帯 3,500万円
省エネ基準適合住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯 4,000万円 その他の世帯 3,000万円
その他の住宅 2024年以降に新築の建築確認を受けた上記の各基準を満たさない住宅は対象外です。
 
■既存住宅…控除期間10年

長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅

3,000万円
その他の住宅 2,000万円
 
基準が様々でてきているので、言葉の意味を調べていきます。
 
◇買取再販住宅
宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋が該当します。
 
◇子育て世帯・若者夫婦世帯
①年齢19歳未満の扶養親族を有する者
②年齢40歳未満であって配偶者を有する者、若しくは年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者
※①又は②に該当するか否かについては、入居した年の12月31日時点の現況による。
 
◇ZEH水準省エネ住宅
日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅
 
◇省エネ基準適合住宅
日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅
 
ただし、2025年度からは、地球温暖化対策やエネルギー資源の効率的な利用を促進するため、すべての新築住宅で「省エネ基準適合」を満たすことが求められますので、今後購入する新築家屋は全て省エネ基準適合住宅になるはずです。
 

ローン控除を適用する際の主な要件

控除を受ける要件も複数あります。令和6年以降の主な要件を確認します。

〇その者が主として居住の用に供する家屋であること

○床面積が50㎡以上であること

○合計所得金額が2,000万円以下であること

※ 2025年末までに建築確認を受けた新築住宅で40㎡以上50㎡未満の場合、合計所得金額が1,000万円以下であること

○住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること

○店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること

○借入金の償還期間が10年以上であること

○取得等した家屋が既存住宅の場合、以下のいずれかを満たすものであること

1)1982年1月1日以後に建築されたもの

2)建築後使用されたことのあるもので、地震に対する安全性に係る基準に適合すると証明されたもの

○買取再販住宅の場合及び一定の増改築等工事を実施した場合、居住の用に供する家屋について行う増改築等が、一定の工事に該当することにつき「増改築等工事証明書」により証明されたものであること

○一定の増改築等工事を実施した場合、増改築等の工事に要した費用の額が100万円超であること

○買取再販住宅の場合は次の要件を満たすこと

・宅地建物取引業者から当該家屋を取得したこと

・宅地建物取引業者が住宅を取得してから、リフォーム工事を行って再販売するまでの期間が2年以内であること

・取得の時において、新築された日から起算して10年を経過した家屋であること

・建物価格に占めるリフォーム工事の総額の割合が20%以上であること

・当該家屋について、要件に該当するリフォーム工事が行われたこと

新築家屋より、買取再販住宅や既存住宅、増改築の場合の方が要件が多いので注意が必要ですね。

 

住宅ローン控除を受けるための準備

どんなに内容が変化しても、手続きが必要な事、保管書類が大事な事は変わりません。住宅ローン控除を受けるためには、最初の年に確定申告を行う事が必要です。(給与所得者の場合2年目以降は年末調整で控除を受ける事が可能です)

提出が必要な書類の概要
  1. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(国税庁のサイトよりダウンロードも可能です、2年目以降の計算書は税務署から送付又はe-Taxにログイン後の画面にて確認できます。)
  2. 住宅ローンの年末残高等証明書(ローンをしている金融機関から年末近くになると送付されます。)
  3. 登記事項証明書、請負契約書・売買契約書の写し 等
  4. 住宅の性能を証明する書類(例:長期優良住宅認定通知書、低炭素住宅認定通知書の写し等)
  5. 新築住宅以外の場合、要件を満たす事を証明する書類(例:買取再販住宅の取得の場合…増改築等工事証明書等 、住宅の増改築等である場合の増改築等工事証明書等)

​書類については住宅会社、ハウスメーカーから渡されることが多く、着工後の早い段階で渡されることもあります。確定申告を提出するのは「移住の用に供した年」の次の年の3月頃になります。どうしても時間が空いてしまう事が多く、さらに引越し前に渡された書類となるので、確定申告の時期になってから証明書などを探すのは大変です。渡された書類について、確定申告に必要な書類は別に分かるようにしておくなど、引越し前から、または家を買うと考え始めた時から、確定申告の手続きを見据えた準備が必要です。

 確定申告に使う証明書は写しを渡しておいて代わりに保管、確定申告の時期、2月中旬位にセットで郵送するサービスが有料オプションで住宅会社でやハウスメーカーにあったら、使う人いるんじゃないかなぁと考えたりします。大事な書類過ぎて高くついてしまうでしょうか?控除が取れなくなることを考えたら安いかもしれませんね。

2級FP技能士 酒井好美

まとめ

  • 住宅ローン控除は、『居住の用に供した年』によって使える制度が違うので注意
  • 制度は変化しつつ、条件が厳しくなり、控除額も減ってきている。
  • 現状(R6年以降)の住宅ローン控除は最大13年間、ローン残高の0.7%を控除する制度
  • 用件が複雑になっているので購入を考えている時から注意が必要
  • 確定申告に必要な各種証明書類の保管がカギ
  • スムーズな確定申告、それは引越前から始まっています!

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