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領収書や契約書に貼る「印紙」。これも、「印紙税」という税金だってご存知でしたか?
事業を行っていると、日々目に触れることの多い印紙ですが、意外と詳細をご存じない方が多いので、今回は印紙税についてかいつまんでご説明しましょう。
本文中では平易に書くことを目的としておりますので、各種特例等を考慮に入れていない場合がございます。また、分かりやすくご説明するため、簡易な用語の使い方・表現の仕方をしております。個別の事案については税理士にご相談ください。
印紙を貼るのはいくらの領収書から?
記載金額5万円以上の領収書には印紙の貼付が必要であることは、ご承知の方が多いでしょう。
もちろん、貼付する義務は領収書発行者にあります。印紙の額は、領収金額によって段階的に決められています。(200円から20万円まで)
(ex.領収金額が100万円以下の場合は200円)
印紙を節約するなら消費税額を明記しましょう!
消費税額が明確に区分して表記してある場合は、税抜の金額をもとに印紙の額を判断します。
たとえば「50,760円うち消費税額3,760円」「50,760円 税抜価格47,000円」「47,000円 消費税額3,760円 合計50,760円」等と明らかに消費税額がわかるように表示すれば、本体価格は47,000円ですから印紙貼付は不要ですが、「金50,760円」とだけ記載した場合は、5万円以上の領収書とみなされ、印紙の貼付が必要となりますから、ご注意下さい。
クレジットカード払いの領収書には印紙は不要
印紙の貼付が必要な領収書等は、法律用語で言うと「金銭又は有価証券の受取書」と言います。
現金等を確かに受け取ったことを証明するために発行するものなので、クレジットカードで支払を受けた場合は、そもそも金銭の授受がなく「金銭等の受取書」に該当しませんから、カード決済であることが明記してあれば、印紙は不要です。
プリペイドカード払いの場合とプリペイドカード自体の販売
「金銭又は有価証券の受取書」には(金額によって)印紙貼付が必要と、前回書きましたが、では「有価証券」って何かというと、いわゆる株券、債券類は勿論、手形、小切手、郵便為替や、もっと身近なものですと、商品券やプリペイドカードも含まれます。
ですから、プリペイドカードで支払いを受けた場合は、クレジットカードの場合と違って、印紙貼付が必要です。
問題は、自分のところでプリペイドカードを作って販売している場合です。
このプリペ自体の販売時の領収書にも印紙が必要。
顧客がそのプリぺを使って支払をした際の領収書にも印紙が必要、というダブルパンチの法律構成になっていますので、ご注意下さい。
契約書にも印紙が必要です
確定申告の際に、不動産売却の譲渡所得や、住宅借入金等特別控除の添付資料として、不動産売買契約書の写しが必要ですが、印紙の貼られていない契約書をよく見かけます。
これを見つけたら、すぐ税務署から連絡がありますから、お気をつけ下さい。
継続的取引の基本となる契約書って??
契約書の印紙の額も、基本的には記載されている契約金額をもって判断しますが、一回きりの取引に関する契約書でなく、業務委託契約書、代理店契約書、加盟店(フランチャイズ)契約書等々のように、継続的な取引にかかる契約書の場合、「継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)」に該当する可能性があり、一律4,000円の印紙貼付が必要になることがあります。
いずれの文書に該当するかの判断は非常に難しく、とても簡単にはまとめられませんので、その都度、税務署か専門家にご相談下さい。
契約書の副本にも印紙が必要?
契約書等を作成する際、当事者の人数分だけ文書を作成し、それぞれが保管するのが一般的です。この場合、たとえ一方に“写し”“副本”などと表示されていても、次の①または②に該当すれば、正本、副本ともに印紙貼付が必要です。
①当事者双方、または相手の、署名または押印のあるもの(自分の押印がなくても)
②コピーであっても、「この写しは正本と相違ありません」等の証明がされているもの
逆に言えば、署名や印鑑まで含めてコピーをとった、ただの複写であれば印紙はいらないということになりますので、原本を1通だけ作成し、相手方にはコピーを渡す、という方法をとられている方もいます。
契約書のコピーでも、おおむね法的には有効とされているようですが、相手先によって慎重にご検討下さい。
契約書や領収書をメールで送っても印紙は必要?
契約書や領収書を、紙に印刷せず、PDF化してメール添付で送る機会が最近は増えています。この場合でも印紙が必要でしょうか?結論から言うと、必要ありません。
法律にはっきり明記してあるわけではありませんが、国税庁のサイトでは、契約書類等を電子メールで送信したとしても、ファクシミリで送信するのと同じで、そもそも「課税文書」(印紙税がかかる文書)を作成したことにならない、という見解を示しています。
印紙税の節約には、ぜひ文書のPDF化を進めたいところです。
PDF文書等が法的に有効かというと、現在では電子メールでもかなり高い証拠能力を持っていると言われていますので、大きな心配はないでしょう。
ただ、後々のもめ事を防ぐためには、やはり署名または押印のされた原本が1部はあった方が安心ではありますね。
今後ますますペーパーレスが進んでいくと、印紙税を徴収する場面がなくなってしまいますので、いずれは法律改正が行われる可能性を、政府も示唆しているようです。
罰金は三倍返し
いよいよ、罰金のお話です。
印紙の貼り忘れが見つかった場合の過怠税(罰科金)は、俗に言う「三倍返し」です!!本来貼付するべきであった金額の三倍相当の額を徴収されます。
(ただし、税務署から指摘される前に自主的に貼り忘れ(=不納付)を申し出た場合は、1.1倍に軽減されます。)
消印を忘れても罰金が!
消印(割り印)もお忘れなく!
本紙と印紙にまたがるように、押印または署名をして消印をします。
契約書の場合など、必ずしも当事者全員が消印する必要はありません。どちらか一方、または会社の従業員、代理人の消印でもいいことになっています。
消印をしていなかった場合も、貼付してある印紙と同額分の過怠税を徴収されますので、ご注意下さい。
病院でもらった領収書には印紙が貼っていないけど?
医師、歯科医師、薬剤師等医療関係の国家資格者や、弁護士、税理士等の「士業」者がその業務上発行する領収書は、そもそもこれらの人たちが行う業務が営業(商行為)ではないとみなされるため、金額がいくらであっても印紙の貼付は必要ありません。
医療機関の場合、勿論、保険診療だけでなく、自費治療も医療行為であれば非課税です。また、医療法人の発行する領収書等も非課税文書です。
ただし、歯科医院で歯ブラシを販売する場合のような物販は商行為ですので、5万円を超える領収書には印紙が必要です。
そもそも何故文書を作成するだけで税金を払わなければならないのか?
次に印紙に消費税が絡んだ番外編です。
一般消費者の方にはあまり関係ないと思いますが、運送業者さんに委託して代金引換(代引)取引を行っている販売業者さんに、ちょっとした豆知識です。
代引の場合、運送業者が、配達した商品と引換えに代金を受取り、その場で領収書を渡します。その領収書は、運送業者が発行するものですので、代金が5万円を超えた場合に貼付が必要になる収入印紙は、運送業者に負担義務があります。
※話は脱線しますが、領収書は運送業者が発行済みですので、販売業者が改めて領収書を発行すると、二重発行になってしまいます。ご注意下さい。
さて、運送業者から販売業者に、回収した代金がまとめて振り込まれる際、諸々の手数料等が引かれてきますが、その中にある「印紙代」が、今回の主役。
販売業者側で経費計上する際、「印紙代」なので、「租税公課」等として、「消費税対象外」で処理していませんでしたか?ところが、実は、これ、「課税仕入」なのです。
あくまで、印紙税の納税義務があるのは運送業者であり、その印紙税に「相当する額」を販売業者に請求しているだけなので、単なる「印紙貼付手数料」と考えればわかりやすいと思います。
販売業者が負担するべき印紙代を運送業者が立て替えているわけではないのです。
これは、運送業者側にとっては、販売業者から受け取る「印紙代」を「課税売上」に計上しなければならず、消費税納税額が増え、痛手となる話です。
※払う方の印紙代は勿論、税金なので「消費税対象外」です。。
現に「収入印紙代相当額」として、販売業者に対して消費税別で請求することに変更した運送業者もあるようです。
もう一度、運送業者からの代引精算書を見直してみて下さい。
「印紙代」の欄に特に消費税額が記載されていなくても、販売業者側では「課税仕入」として経理処理して下さい。
金額的には些少でも、仕入税額控除が増加し、消費税の納税額が減少します。
※消費税簡易課税制度を選択している場合には特に効果はありません。
詳しくは、下記の国税庁サイトで、消費税基本通達10-1-4をご覧下さい。
https://www.nta.go.jp/…/zeih…/tsutatsu/kihon/shohi/10/01.htm