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R4.8、9、10月FACEBOOK投稿分より

インボイス制度~免税事業者の判断~

免税事業者からの仕入に係る経過措置

 消費税は「預かった税額から支払った税額を差し引いて納付」するメカニズム

→ ここで問題になるのは「支払った税額」の計算方法

 課税事業者は、適格請求書等を発行しない事業者(免税事業者)を利用しなくなる
→ 税額控除できないなら消費税分無駄払いになるため

 注意 …簡易課税で申告している事業者には関係なし

 6年間の「経過措置」

→ 制度導入から3年間は支払った税額の80%だけ算入を認める(R5年10月~)
→ 次の3年間は上記の割合を50%に落として認める(R8年10月~R11年9月)

 経過措置後のインボイス制度

→原則の「支払った税額は適格請求書等が無ければ計算不可」に収束(R11年10月~)
→「そして免税事業者は殆どいなくなった」と言う状況になる

(と言うより国税としては、そうしたいに決まっていますね)と予測しています(私見です)

 

 具体的な例
前回に続いて、具体例を考えてみました(概算です)。


 一人親方やフリーランスなどで免税事業主の場合

 課税売上が年900万円、殆どが事業者相手の売上としましょう。

〈令和5年10月~8年9月〉
インボイス登録事業者(課税事業者)かつ簡易課税(今回も仕入率50%とします)を選択した場合、消費税は、900万円×10/110×(100-50)%で、409,000円の納付。

 もし免税のままでいたとしたら、取引先にとっては支払った仕入消費税の80%(従前は100%控除出来ていた)が控除されるようになり、取引先では900万円×10/110×(100-80)%=163,600円の増税で済んでいることになり、取引先と上手に交渉することで売上を16万円値引きする事で済んだ場合等は免税事業者のままで居る方が得、と言うことになります。

〈令和8年10月~11年9月〉
上記同様に取引先における影響額を計算してみると、
900万円×10/110×(100-50)%=409,000円。

 ここでこの場合は自身の納税額と取引先の納税額が並び、免税事業者に拘る理由は手間や申告費用だけとなってきます。しかも、もし簡易課税の概算利益率が大きい事業種目であれば自身は免税のままが有利かも知れず、逆に概算利益率が小さい事業種目なら早々に登録事業者となるべき。この辺りは実際の経営数値や業種目で大きく違ってきます。

〈令和11年10月~〉
上記同様に取引先における影響額を計算してみると、
900万円×10/110×(100-0)%=818,100円。

 こうなってしまうと自身の納税額よりも、発注元にとってよほどコストパフォーマンスの高い業務提供を行わない限り、免税事業者のままでは仕事が回ってこない恐れが強くなります。
片手間で副業的に営んでいる事業の場合や、主な取引先が簡易課税の場合などは大きな問題は無いと思われますが、消費税法上のことだけにとどまらず様々な事情を考え併せるべきことが有ると思います。

上記のケースでは、取引先との事前打ち合わせや、事業者自身の経営計画、今後の受注の見通しなど、経過措置当初の3年間のシミュレーションをまず急いで行うべきでしょう。何せ消費税率は売上の10%ですから、今回のチョイスによって経過措置期間の6年間だけでも相当な影響が出る危険性がありますね。

こういう判定や検討にこそ時間やコストを掛けるべきなのですが、同業者間の相談で済ませたりネットの口コミなどで大事なことを決める方がフリーランスの方には多い様に思えます。そういうところこそ後々の事業規模や企業コンプライアンスに響いて来るものなので、コストが惜しいなら御自分で時間を掛けて計画を立てる必要性が高いと思います。税理士以外が相談を受けると法律違反になりますので、自分で計算できない場合は税理士に相談するしかありませんね。

インボイス制度全体

今回は制度導入に関する私見を織り交ぜながら手短に解説して行きましょう。あくまでも私見なので悪しからず。

インボイス制度は何故導入されるのか?

今までの消費税制度について順序立てて考えてみましょう。
 事業者は消費者から売上と共に預かった消費税(仮受消費税)から仕入その他の代金と共に支払った消費税(仮払消費税)を差引いて納付する。これが消費税の仕組み。

 平成元年の消費税導入(当時の税率は3%)に際し、経済産業省等は事業者によって物価が偏らないように「免税事業者でも消費税を預かること」を指導し、「当店は免税事業者なので消費税はお預かりしません」等の広告を禁じた。
 前記により、免税事業者(当時は課税売上高3000万/年が判定ライン)が消費者から預かった消費税を納付せず受納することが合法的、寧ろ奨励された(いわゆる「益税」)。

当時の益税額は、課税仕入の無い事業者なら最高3000万円×3/103=87万円強であった(益税部分は収入として所得課税)。

 厳密には免税事業者も仕入などで消費税を支払う事が多いため益税額が最大値であるケースは少ない(以下同様)。
 益税となる金額は、単に報酬だけを貰う類いの仕事では大きく、仕入等の割合の多い業種では少なく、免税事業者の中でも大きな偏りがある。

 その後、課税売上高1000万円が免税事業者となる判定ラインとなり、消費税率は3%から5%、8%と上がり、現在は10%と8%の二重税率となった。

現在の益税額は、上記同様の条件で最高1000万円×10/110=90万円強と、当時と同レベル。

 現在の消費税法では、免税事業者からの仕入れか課税事業者からの仕入かは問わず、課税取引に該当する種類のものであれば全て控除対象として帳簿から計算することが可能。

つまり、免税事業者に支払った消費税相当額が免税事業者の利益となっている場合でも課税仕入として国に納める消費税から差し引かれている。

 上記4、5により、一般消費者や別の事業者が免税事業者に支払った消費税は免税事業者の利益となって国庫に納付されていない。


 インボイス制度導入の理由あれこれ

 消費者が支払った消費税を効率的に国庫に納入させること

 証拠書類(インボイス)が無いと控除を認めないことで、不正な控除を阻止すること

 多くの事業者を登録事業者とすることで国税からの捕捉を容易にしようとすること

 

 周辺事情

 消費税法が施行されて35年が経過し、既に国に根付いている

 マイナンバー制度が徐々に定着し、電子的に名寄せすることが容易になっている

 飲食(特に高級店)、美理容業、土木建築業、各種フリーランサー、その他仕入が少なく利益率が高い業種で申告漏れ発生割合が高く、その多くが事業者を顧客に持つ

 まとめ

あと約一年でインボイス制度が開始となり、その初日からインボイスを発行しようとすると2023年3月が登録期限、検討する時間が徐々に少なくなってきました。ただ、登録事業者の割合は相当低いと思われ、今も未だ「様子見」が続いています。

来年以降、企業案件を多く手がける免税事業者はインボイス発行を余儀なくされ自らの益税部分を失うことになるでしょう。そして多くの免税事業者は自らの仕入に関する消費税を負担したままにするか登録して消費税を納める側に回るかの二択を迫られるでしょう。また、制度導入当初は特に本則課税事業者は領収書や請求書のインボイス登録番号によって取引先の選別や登録の有無の確認作業に追われるでしょう。

困ったら税理士等に依頼すれば良い?それもどうでしょう。現在、「会計事務所」の多くは人材不足に悩まされており、また7~80%の事務所では手作業での入力や記帳業務が主要な業務と言われています。これにインボイスの確認作業が増えると、経験者で無ければ出来ない作業が増え、人的な仕事量を増やして対応せざるを得なくなります。そうなると、手作業をメインとし続けるならば人材不足も相まって報酬を上げるか?品質を落とすか?我慢して続けるか?の三択でしょうか?会計事務所業界も、いま困っています。

私の考えですが、当業界でも国と同様にフィンテックやAI等の積極導入に歩みを進める事務所で無いと今後は淘汰されるでしょう。既に法務も会計も税務も、数年程度の経験者よりAIの方が遙かに仕事は正確で速い時代。専門家が専門業務に専念できるよう、当事務所でも2年ほど前から次々と処理システムの多くを刷新して来年以降に備えています。それより何より、税理士の相談を経た上で制度導入までに事業主自身がベストオブベターの方策を最終決断しなければなりません。事業って、恐ろしくて、気を遣うもので、繊細で、豪快で、複雑で、奥が深くて、面白いですね。相談はお気軽に!
書きたいことは多いのですが何とも時間がありません。一応、「次回以降に続きます」としておきましょう。

 

この頁は当事務所のFACEBOOKで投稿された消費税の改正に関することをまとめたページです。 藤戸綜合事務所のFACEBOOKはコチラ

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