R7年4月~8月FACEBOOK投稿より

医療法人とは 

医療法人の組織や役職

 今回は医療法人の組織や役職について少々掘り下げて見ましょう。

<医療法人の中の人あれこれ>

・社員の仕事は重要だが大して忙しいものではない

 医療法人の社員は、医療法人の最高意思決定機関である社員総会を通じて重要な事を判断する事が仕事ですが、総会は年に何度も有るものではありません。

 定時社員総会は事業年度末総会と決算総会の二度、事業年度末の総会では時期の予算の承認、また決算総会では前事業年度決算の承認がメインテーマとなり、次期の役員給与改定なども定時総会での議題となります。

 なので社員は多忙な方でも大して問題なく、何より「絶対に裏切らない」点を最重要視して選定すべきで、且つ定款記載された最小限の人数(殆どの場合三名)を守りながら最小限の社員数で堅固な社員総会の構成を旨とすべきでしょう。多くの場合、社員は御家族で固められている事が多く、家族全員が社員で他人の社員は無し、と言うケースが多く、兼業禁止など就任に支し障りのある家族を除き社員全員が理事にも就任される場合が多いようです。

 またお子さんが未成年の場合などの場合には祖父母その他が社員となり、お子さん方が成人した以降に社員構成を変更する事なども行われます。

・経営するのは理事の仕事である

 理事は社員総会で委任を受け、医療法人の経営を行います。実際には、多くの小型医療法人が一人医師医療法人である事から、個人事業主であった医療機関管理者(院長)が医療法人成りするに当たって社員になり理事になり理事長に就任、というケースが多いでしょう。つまり、「社員三名」=「理事三名」と言うように3人の方が両方兼任している、と言う形式ですね。ちなみに監事も一人必要なので医療法人は最低四名居れば出来る、と言う訳です。

 未成年は理事になれませんから、社員同様に一旦他の方が就任し、後で変更する事も一般に多く見られます。

 社員に対しては配当も給料も出ませんから、医療法人から収入を受け取るのは理事給与がメインとなります。当然ながら、理事は自らが法人に対して提供する業務の質や量また結果によって給料を受け取る訳で、役員給与に見合う仕事をする必要が有りますが、経営責任に応じた割高な給与支給は可能です。ちなみに税理士やコンサルなどの専門家は経営相談には乗りますが経営代行は仕事に含まれません、経営を依頼しようと思ったら理事に任命した上で相応の給料を出してください(笑)

・監事の仕事

 医療法人の監事は、法人業務や財産状況等を監査し、毎会計年度ごとにその監査結果を基に監査報告書を作成して社員総会や理事会に提出するのが主な仕事です。また、不正行為や法令違反を発見した場合には都道府県知事や社員総会に報告義務があり、医療法人の役員でありながら医療法人とは一定の距離を保った第三者的な仕事を行います。

 なお、平成19年の医療法人制度改革で監事の監査責任(業務の適法性監査、会計監査、上記の報告義務など)や、監事の怠慢や不正行為により損害を与えた場合の賠償責任などが明記されたことで名義貸し的な就任を渋る人が増えました。監事の要件等は前々回に書きましたので今回は割愛します。

・地方の町村部などは要注意

 東京などでは医師の希少価値は然程高くないが、地方では一人あたりの医師数が少ないために患者が集中しやすく、自動車利用などにより診療圏が広い事も特徴的。そのため都会よりも医療機関の規模が大きくなりがちです。それに反して周囲に医療法人の専門家も居ないため、顧問税理士が監事になっていたり、社員は家族だけの筈なのに理事や役員全員に社員の肩書きを付した決算報告が出ていたり、非常に「怖い」運営が成されているケースもありますね。

 それを言うと「誰も教えてくれなかった」みたいな話になったりもするのですが、言うまでも無く全て自己責任。社員や役員が基礎的な知識を持とうともせず重要な判断まで医療知識の薄い税理士等に丸投げしているようなケースも多いのですが、これでは上手く行くはずがありません。

 地方は医療法人数も少なく、役所にも詳しい方はごく少数で、取扱等についての確認電話をすると「厚生労働省に確認して掛け直します」というような対応が普通だったりします。医療法人数の少ない地方の方は医療法人知識の豊富な専門家にセカンドオピニオン的に臨時で関わって貰うのも有効かもしれません。

 Webだから書いちゃいますが、医療法人関連の書籍の多くが法律や厚生労働省の資料や出版物また他の書籍からの転用が多く、経験則の大きい実務関連は書いていない、「この著者は実際に体験していないかも」と思わせられるものも多いものです。正確な情報や知識を得るのは本当に大変だとつくづく思います。

 一応名誉のために書いておきますが、私や当事務所が設立に関わった医療法人さんで危険な社員構成や役員構成になっているところは皆無で、勿論組織不備による事故は一度も経験がなく、様々な事例は全て臨時の案件です。なお、事例は全て実例ですが若干事実と変えてあります。一応念のため。

持分あり医療法人
医療法人成りって何がメリットなの?

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