年末調整の時に配布される紙が2枚から3枚になったのはもう5年以上も前の話だそうです。
最初はなにこれ?と誰もが思ったでしょうが、毎年のように変更もあり、いまでも良く分からない人が多いのが現状かもしれません。
最近なんだか複雑になっている年末調整、結局何のために何を書けばよいの?分からない時はどうすればよいの?
というところを中心にご説明していきます。
※当事務所サイトにはH27年にFBに投稿した『年末調整のポイント解説』の頁があります、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書や給与所得者の保険料控除申告書について、間違えやすい箇所の紹介等はこちらを参照してください。主にここから追加された書類や変更箇所についてご紹介します。
毎年1月から12月までの1年間に支払われた給与から天引きされた源泉所得税の過不足を年末に調整するものです。
雇用主が、毎月給与から天引きしている源泉所得税は、あくまで概算であり、1年間の収入や控除額などが決定する年末に改めて計算し直し、すでに給与から天引きしている所得税額の合計額から精算する必要があるのです。
いわば確定申告の簡易版で、雇用主には給与所得者の代わりに行う義務があります。
(当事務所の年末調整ポイント解説より)
つまり年末調整の各書類に記載している情報は、収入や所得を確定させるためのものであり、一昔前と比べて必要な情報が増えてしまったため、書類が増え、記載情報が増える事になっている。というのが現状です。
年末調整で所得税が決定するにはどんな情報が必要なの?
所得税が決定するには収入と各種控除が適用されるかの確認が必要です。全てについて年末調整で計算できるわけではなく、下記の範囲でのみ年末調整では確認し、所得税を計算します。年末調整では対応不可な部分については各自で確定申告が必要になります。
【収入】
・給与台帳等からその事業所から支払いのあった給与金額等を確認します。
・基礎控除申告書でその他の収入について確認します。
【控除】
扶養控除等(異動)申告書にて確認する控除
→扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
保険料控除申告書にて確認する控除
→生命保険料控除、地震保険料控除、 社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除
住宅借入金等特別控除申告書(対象者のみ提出)にて確認する控除
→住宅借入金等特別控除
基・配・特・所にて確認する控除
→基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除
基・配・特・所 について
この書類が増えたことにより、配布される書類が3枚になりました。しかも毎年のように内容がちょっとずつ変わっていく。何を書く書類なのか簡単にご説明
まずは本名、『給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書』という名称の書類です。右上側に大きく『基・配・特・所』と記載があるのは略称、つまり4つの申告書が一枚に入っている。いったい何を書く書類なのか一つずつ確認していきましょう。
その1 給与所得者の基礎控除申告書
令和元年分以前の基礎控除の金額は、納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円でしたが、R8年現在は納税者本人の合計所得金額によって基礎控除の金額が変わります。つまり、基礎控除の金額を決定するためには、納税者本人の合計所得を知る必要があるのです。
事業主は自社で支払っている給与以外に収入があるかないか、それはいくらなのか、従業員それぞれの合計所得を確認しないと年末調整ができなくなりました。「給与所得者の基礎控除申告書」はこのための情報収集ツールなのです。
その2 給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者控除も多様になりました。納税者本人の所得と配偶者の所得により控除金額が変化します。
そのため、配偶者控除額または配偶者特別控除額を確定させるためには、先程の「給与所得者の基礎控除申告書」の金額と、さらに配偶者の所得、年齢が必要になりました。それを記載するのが「給与所得者の配偶者控除等申告書」です。
その3 給与所得者の特定親族特別控除申告書
『特定親族特別控除』はR7から新しくできた控除で、19歳から23歳までの所得が62万円超〜123万円以下(給与収入のみなら約136万円超〜197万円程度以下)である親族等を養育時に利用できる控除です。
それまでも19歳から23歳まで、所得が62万円以下の特定扶養親族を養育する場合、63万円の扶養控除を受ける事ができましたが、62万円を超えてしまうと控除がありませんでした。この年代は学生が多く、最低賃金の上昇もあり、バイトを一定以上すると所得が62万円を超えてしまい、控除がなくなってしまう、という事が起こり得る状況でした。新しい控除ができたことで、所得が62万円を超えてしまった場合にいきなり控除が無くなってしまうことなく、123万円以下までは段階的に控除が使えるようになりました。
この控除は特定親族の収入によって控除額が変化するため、特定親族の年収の情報も必ず必要になります。それらの情報を記載するのが給与所得者の特定親族特別控除申告書です。
その4 所得金額調整控除申告書
平成 30 年度税制改正において、給与所得控除の見直しが行われ、給与収入が 850 万円 を超える場合の給与所得控除額が引き下げられましたが、子育て等の負担がある場合には経済的負担が大きくなってしまうと考えられ、23 歳未満の扶養親族を有する者や特別障害者控除の対象である扶養親族等を有する者等については、給与 所得控除の見直しにより負担増が生じないようにするため、「子ども・特別障害者等を有 する者等の所得金額調整控除」が 措置されました。この控除については年末調整での対応が可能なため、控除に該当する場合に必要な情報を記載するフォームが所得金額調整控除申告書です。つまりここに情報を記載する必要があるのは収入が850万円を超える場合のみと言う事になります。
ざっとご説明しましたが、いろいろな制度が新しく変わったりできたりしたことで、必要な情報が増え、記載事項がどんどん増えていった結果なんだ、と言う事がご理解いただけたかと思います。
自分に当てはまる制度を見落としていないか、必要事項を記載しているか、目的が分かると判断しやすいですね。
毎年のように新しくなり、複雑になっていく年末調整の書類ですが、お助けツールも充実が図られています。
まず、数年前から各書類にはQRコードが印刷されています。スマホのカメラをかざすだけでURLが表示され、国税庁の記載方法を説明するサイトが開きます。どう書くのかな?と記載例を確認したい時はご利用をお勧めします。
また、国税庁のサイトにて『年末調整がよくわかるページ 令和8年分』というのが用意されています。検索するとすぐに出てきます。昨年との変更点や従業員さんへの説明、給与支払者の事業主さんへの説明やチャットボットに相談など様々用意されていますので、困った時はこちらを参照するのもお勧めです。
■まとめ
制度の変更や新しい制度に対応するために、毎年のように年末調整の書類は変化しています。年に一度しか見ないのに、さらに去年と違うなんて!と面倒に感じてしまいますが、記載例や各種説明資料へのアクセスも簡単になっています。
どこが変わっているのか、それはなぜなのか?に注目してみると新しい制度を知るきっかけになるかもしれません。ぜひ余裕をもって年末調整書類を完成させ、はやめの提出をよろしくお願いします。
【参考資料】
国税庁サイト No.1180 扶養控除、No.1199 基礎控除、No.1177 特定親族特別控除、年末調整がよくわかるページ 令和8年分、所得金額調整控除に関するFAQ

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本文中では平易に書くことを目的としておりますので、各種特例等を考慮に入れていない場合がございます。また、法律条文を出来るだけ分かりやすくご説明するため、簡易な用語の使い方・表現の仕方をしております。