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今月の連続投稿は特にテーマを定めずに、所長税理士として日常業務で感じたこと、業界のマニアックなこと、その他について徒然書いて行きたいと思います。
税理士の広告規制の変遷
つい最近まで広告が禁止されてきた我が業界ですが、最近のネット広告を見るにつれすっかり「明朗会計」などと銘打った安売り合戦の様相を呈してきました。
「これじゃぁ『さむらい業』ならぬ『税金屋』だ」と嘆く同業者も多いと思うのですが、それは後ほど書かせていただく事として早速本題に入りましょう。
1)士業の広告規制
税理士の広告については、昔は強い規制を受けており、事務所名、住所、電話番号程度しか広告できませんでした。具体的に言うと、郵便局で切手を購入した際に切手を入れてくれる透明袋に前掲の情報程度を入れる、辺りが限界だったのです。事務所の看板の大きさや記入内容も制限されていたため、窓ガラスに大きく事務所名を貼りだしている事務所も多く見られました。
看板など、一定の部分に限り、一定の業務内容なら掲示しても良いことになっていたため、『会社設立』『コンピューター会計』『記帳代行』など羅列した看板も多く、それを「税理士事務所っぽい」と記憶している方も多いかと思います。
明治以降の税制は江戸時代の名残の感覚を残していたためか、「公租公課は御上が押しつけるもの」の趣が強く、弁護士、計理士(後の公認会計士)、国税従事者(国税OB)のみが代理人の任に当たることが出来るものとされていました。国税の専門家の数は大変少なく、広告宣伝などせずにいても仕事の依頼は絶えなかったと言われています。
その後、日中戦争から第二次世界大戦に掛けて戦費調達のために行われた大増税ですが、その頃になると専門家の多くが戦地に送られ、無資格の代理人が横行して混乱を来したため、改めて昭和17年(1942年)に税務代理士法が制定されました。
現在に繋がる税理士法が誕生したのは昭和26年(1951年)のことです。この新しい法律は、戦後新たに導入された申告納税方式に併せたもので、試験による資格取得制度の創設、国税OBに対し自動的に資格を付与する条文を廃止(後に形を変えて復活)するなどの改革が行われました。
この、明治以降全ての時代を通じて税理士の広告には規制が掛けられ、先に開業している税理士等の既得権は守られ続けました。また、「試験合格者だけでは税理士が足りない」という理由で税理士法に於いても旧法と同様の国税OBに半自動的に資格を付与する制度が復活し、国税OB税理士に対して税務署が顧客を紹介する「隠れ天下り」も半ば公然と行われ(最近では平成16年にも国会で取り上げられました)、試験合格税理士の新規参入が難しい時代は、つい最近まで続いたのです。
2)広告の自由化
私が新規開業したのは、バブル崩壊後の「消えた20年」不況の真っ只中だった平成8年のこと。表札は出しましたが、その他殆どの広告が禁止された状況下での開業でした。
その後、バブルが弾けた後の長期不況を打破するため各種の規制緩和を行おうという動きが巻き起こり、その流れの中で税理士の広告規制が、独占禁止法の「不当な取引制限の禁止規定」に抵触するとして、税理士法改正により撤廃され、税理士が広告を自由に出す事が出来るようになったのは、平成14年(2002年)の事で、これ以降は税理士業界にも徐々に広告を出す事務所が増えて今に至る、と言う訳です。
3)広告自由化後の税理士業界
税理士事務所の公告が解禁された平成14年は、マイクロソフト社のWindowsXPが発表された翌年に当たります。そして、このWindowsXPによりインターネットの普及に拍車が掛かり、ネット広告も徐々に浸透して行きました。
広告規制が長い時代続いたこともあって、税理士の多くは職人肌で、経験や知識が豊富で説明も上手な実力派でも自己アピールだけは下手、というタイプの方も多いです。その中で、ネットを上手に利用して積極的に自分を売り込んだ税理士が抜群の集客力を見せたことも、業界の話題になりました。税理士事務所の業務品質や実力は大抵の人には分かりませんから、「広告で勝負」する事務所が流行るのも判らない訳では有りません。そんな訳で、ちょうど今から17~18年くらい前から、自前のウェブを作成する事務所が増えて来たという印象です。
4)禁止されている広告
税理士の広告が自由化された今でも最低限の広告規制は存在し、税理士会は税理士会報その他を通じて下記のような広告を出さないよう、指導しています。
・経歴詐称、実在しない人物などの推薦文
・誤導又は誤認を起こさせたり、誇大又は過度な期待を抱かせる謳い文句
・割安な報酬を謳うこと
・業界や役所に顔が利くため税務調査が省略されるなどの偽言
・「法の抜け穴伝授」など法律違反を想起させる文言
・他社との比較広告
・税理士の品位又は信用を損なうおそれのある広告
5)宣伝広告の自由化と税理士の二極化
最近の我が業界の広告宣伝は、廉価販売と専門化(高級化)の二極化が見られます。
かたや、値下げのために業務品質や業務範囲を徹底的に削ぎ落とした業務形態。大体において税理士業務の内容や業務品質は、傍目からは判りにくく、「税理士業務とは何か?」を理解していない業界関係者すら少なくないのですが、その中で素人目に最も分かりやすいのが価格かと思います。
ネット広告全盛時代に開業された税理士さんの多くが仕事を得るために廉価を売り物にし、熟練者の必要が薄く、簡単で短時間に終わり、責任が薄い業務を中心に引き受けるのも充分理解出来ます。また、業務範囲を極端に絞ったほうが相対的な時間単価は多くの場合高くなります。こう言った作業ごとに値札を付けて業務を請け負う遣り方は、逆に考えると「言われたことしか、やりません」「引き受けた業務以外については責任を負いません」と言う事なので、「税理士に全部任せてある」という委任関係には無いことを依頼者の側としても認識しておく必要があるでしょう。
また、「相続専門」とか「調査立会専門」などというニッチな分野に業務範囲を絞り、それ以外の仕事は引き受けない、といった事務所さんも最近は多いようです。こちらの特色は、専門分野を絞ることによってより深い業務が可能になることでしょう。現代においては、税理士探しもインターネット等で検索することが多くなったため、相当狭い職務領域でもきちんと仕事の依頼は来るようです。また、多くはスポットで契約することになるため、長期間付き合うような関係になることは少なく、様々な軋轢をあとに残したくない方には向いているのでしょう。
当事務所は広告宣伝には消極的で、特にネット経由での「一見さん」からの御依頼については過去の経験上及び腰で対応させていただいており、基本的には知人からの御紹介のある方をお引き受けしています。開業したての頃、飛び込みの依頼を引き受けて散々仕事をさせられた挙げ句、報酬だけでなく納入した会計や給与計算ソフト代金まで何ヶ月も滞納されたり踏み倒されたりした苦い経験が何度かあります。特にネット経由の方の多くは御自身の事業内容をろくに開示しないまま報酬の見積もりを求めて来られたり、メールや電話で散々質問や相談をされたあと二度と連絡が来ないなど、あまり感心しない方が多い。「従業員2~3人、2000~3000万円だと報酬どれくらい?」という電話で報酬額を出せたら超能力者ですw
「じゃあ、どうしてお宅の事務所はウェブサイトやフェースブックのページを持っているの?」という疑問については、次回書いてみたいと思います。
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「当事務所もホームページを作るべき」とスタッフ達から提案があって始めたサイトですが、開設するに当たって、私から担当者に下記の様なリクエストを出しました。
1)宣伝をしないこと
宣伝広告や税理士紹介サイトを積極的に利用して顧客を増やしている事務所さんの中には、驚くほど粗い仕事をしているところも見受けられます。
スタッフ達が驚いて「こんなにスカスカの決算書を出して税務署は何も言わないんですか?」と私に質問してくるようなモノも、まぁ、割と目にします。広告費や紹介料などに資金を使うということは、本来業務に掛けるコストを削るということにも通じる、良い見本だと思います。
また、大した経費が掛からない広告宣伝の場合でも、急激に実力以上の依頼が立て込んでしまうと、自分たちの仕事が荒っぽくなってしまうかもしれない。更に、忙しすぎる状況では本当に我々の力を必要としている方からの依頼も断らざるを得ないかもしれない、そう言うのが怖いのです。
我々の業務は知識と経験を有する人間が時間を掛けて丁寧に作業することが何より業務品質の向上に繋がります。仕事なら何でも、というのでは無く、本当に当事務所がお役に立てると言う業務だけを引き受けたいと思っています。なので、「有用な情報は発信するが、事務所の宣伝はするな」と言う面倒くさい要望を出しているのです(笑)
2)世の中の役に立つ情報を発信する事
Webを通じて有効な情報を判りやすい形で発信するには、それなりの勉強や調査が必要なので、まとまった文章を書くことはスタッフのみならず私にとっても良い職務研修になると思っています。難しい言葉で文章を書くのは簡単、難しいことを誰にでも判りやすく説明することは、我々業界人の最も心掛けなければならない部分だと思うのです。
また、税務会計に限らず、周辺知識についても、「こんなことについて教えて(調べて)ほしい」というようなリクエストが御有りの方は下記メールアドレスまでご連絡をお待ちしています(原則として返信は致しません)。
info@fujitooffice.com
3)始めるのなら止めないで続ける事
何ヶ月も更新しないで放置されているウェブサイトは、みっともないですよね。豪華なデザイン、目を引くアニメーションは無用だが、中身はずっと更新し続けて欲しい。
単にアリバイ的に作成されたサイトではなく、少しでも世の中のためになるサイト作りを目指して欲しいと思っています。
4)所長だけが忙しくなるような記事を書かないこと
私にしか遂行出来ない業務については御紹介だけで一杯一杯の状態、と言うのが一つのの理由。また、現在の当事務所はスタッフ各人が徐々に専門業務や得意分野を持ち始めているため、分野によっては所長より詳しい者も多く、少しづつ名前の通りの「綜合事務所」になりつつあるため、所長だけをクローズアップするのも違うと思ったからです。
「仕事に対して責任を持つこと」はスタッフ各人の役割で、だからこそスタッフ各人には遣り甲斐を持てる仕事をして欲しいと思っています。対して所長たる私の役割は「外部に対して責任を持つこと」で、決して面白い役割ではありません。所長の「イズム」は売り物にして欲しいが、所長の時間を使われるのは勘弁してほしい、というわけです。
上記のように少々へそ曲がりな運営方針ながら、担当者の話では当事務所サイトの検索順位を調べると、キーワードによっては相当上位に属するのだそうです。これは私的には秘かに嬉しいことで、業者を通さず、大した経費も掛けずに運営している割には、まぁまぁってところでしょう。
また、事務所サイトの中では特に税務調査に関する記事に人気があると聞き、近々税務調査対応だけスポットでお引き受けする業務を始めようかと思っています。
これまでは、調査に自信が持てないという若手の税理士先生の話を聞くにつれ調査対応について実地でお教えする訳にも行かず歯がゆく思っていましたが、税理士が共同で事前調査、調査リハーサル、調査打ち合わせ、調査立合、調査官対応などの税務調査対応業務を行うなら問題なし。
企業様の安心感と若手税理士先生の研鑽の両立が可能かと思います。私一人で始めた当事務所ですが、今では複数の税理士が在職するようになりましたし、少しは世間のお役に立てれば、と考えています。詳細は後日、Webにて。
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税理士が日頃どういう勉強や研修受講をしているのか、ご存知でしょうか?
税理士には、歩く法令集のような方、税法学の研究者、全方位に深い知識を有する方なども多いのですが、そうでない人も多い。今回は、税理士として日常どういった勉強をしているのか、その一端をご紹介致しましょう。
1)税理士は常に勉強しないと資格剥奪される!
と言うような事は全く無く、今のところ制度的には、税理士は全く勉強をしなくても資格を取り上げられる事は有りません。
殆どの国家資格がそうであるように、税理士資格は一度取得したら運転免許証などと違って切り替えや更新がないため、きちんと勉強する人とそうでない人の差が大きく、以前から能力に相当の差が有ると言われてきました。
そのため平成27年から年間に最低36単位(一単位=一時間)の研修が義務付けられるようになりましたが、今のところ罰則など設けられていないせいか昨年度の義務時間達成率は36.7%と大変低く、同業者としては寂しいところです。ただし、令和2年以降はコロナ騒ぎで研修がなくなったり、会場の定員が減らされたりしているため、私個人は認定研修以外を受講したりしています。
2)どのような研修があるのか?
税理士の研修には研修単位が認められる正規のものと、それ以外のものがあります。ここでは正規の研修に絞って書いて行きますね。
A・研修内容
税理士の研修は所属税理士会や日本税理士会連合会が開催し、講師は税理士、大学教授、他士業専門家(弁護士、公認会計士、その他)などで、多くは日中に各種講堂やホールなどで開催されます。また、それ以外にも、大学院、各種学校、その他各種研修機関によって開催される研修の中にも研修単位が認められるものがあります。
内容は税務会計とその周辺業務が多く、例えば私が受講した研修のタイトルは概ね下記のような感じ。
当年度の税制改正、消費税簡易課税研究、資本取引実務、親族並びに親族外事業承継実務、改正個人情報保護法と税理士実務対応、民事信託の法務税務、預金性債権の遺産分割性その他を巡る最高裁判決検証、国際税務と外国税額控除、個別対応と一括比例配分(消費税税制改正関連)。
また、「申告書の書き方」のような初歩的な研修は税理士向けには開催されないので、経験の浅い税理士さんは専門学校の実務講座に自費で通うか、税理士会主催の事務所職員向け講座(有料か、または税理士の参加は不可とされている事が多い)に通うことになります。
B・研修時間、研修場所など
例えば、私の属する東京税理士会の研修は午前10時から午後4時などの時間帯で中野サンプラザホールや日比谷公会堂等で行われることが多く、たかが年間36時間といえど、時間を作るのはなかなか大変。そのため最近ではインターネットを使ったオンデマンド研修も設定されており、随分便利になってきましたが、私はライブで聞くほうが集中できるので、出来る限り時間を作って会場に足を運ぶようにしています。
ちなみに費用については、税理士会主催の研修の殆どが税理士会費で賄われているので通常は自己負担はありませんが、特別なカリキュラムや税理士会以外が主催している研修の場合など数千円から数十万円の自己負担が必要なものもあります。
3)研修カード
研修に行った際は、受付で研修カードのバーコードを読み取って貰い、出席記録を残してもらいます。またインターネットを通じての受講については別に受講履歴証明の手続きが必要です。
前年度に研修時間目標を達成した人にはゴールドカラーの研修カード(ただゴールドカラーなだけで、ペラッペラの安っぽいものw)が配布され、未達成の会員には白い研修カードが配布されます。なので、最低限の勉強をしているかどうか?位はカードの色で判別できると言えるでしょう。また、税理士向けの研修では殆ど試験などは課されないため、一生懸命聞いていたかなどは分かりません(笑)
一応、私の研修カードの写真を掲載しておきましょう。ちなみに当事務所の税理士は全員ゴールドカードです。それにしても本当にペラッペラですね(苦笑)
4)研修受講時間の公表制度
平成30年度からは、各税理士の研修受講時間を税理士会で公表することになっていますが、これは年間最低36時間の研修受講が出来ていない人に対する罰則付きの指導なのかとも思われます。
ただ、個人的な意見としては、正規の研修ではなく、会員各人が自主的に税法学を学んだり、様々な論文を書いたり、また各種研修講師活動を行った事績などは受講時間には反映されないこともあり、闇雲に研修受講時間だけを公表しても意味は薄いのでは?と考えたりしています。
研修に出席している方の多くが時間の有りそうな年配の税理士さん、おまけに研修中に居眠りしている人も多いですし、ただ会場に座っている時間で比べられてもなぁ!と、思わないでもありません。「達成」「未達成」位を公表する様にならないかなぁ?と、実は願っています。
次回は税理士会その他、各種税理士関連組織について書いてみましょう。
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で、今回は税理士関連の組織を全てご紹介しようかと思ったのですが、調べてみたところ全て詳しく紹介するなど不可能なほど多くの組織が存在し、これまで全く知らなかった組織や、全く自分には関係ない(と思われる)組織なども多く、詳しい紹介は私には無理だと悟りました(笑)
と、言うことで、以下「税理士会」に絞って御紹介いたしましょう。
税理士になるには税理士会入会が必要
「税理士会に入会すること」は税理士となるための絶対条件です。
税理士になるための第一歩は、税理士試験に合格するなど、国税庁の税理士審査会に「税理士としての能力を持っていること」を認めてもらう事。
そして能力を認めてもらった人が、税理士会に加入を許されて初めて税理士を名乗ることが出来るようになります。なので、「税理士は全員税理士会員」であって「税理士名簿に名前が記載」されている、言い換えると「税理士会に属していない税理士は存在しない」ということになります。
私の体験ですが、税理士登録(税理士会入会審査)においては、「過去に税理士法違反を犯していなかったか?」のようなことを面接(税理士会と税務署の各税理士担当者、だったと記憶しています)で何度も聞かれました。税務会計関連の知識能力と法律遵守が登録の二大要件なのでしょうね。
また税理士は自分の住所ではなく自らが開設する(または属する)事務所の所在地の税理士会に所属することとされています。
税理士会員では無い人達
前述の通り税理士会員で無い人は税理士ではありません。税理士試験に合格した人でも登録していない人は税理士ではありませんから、たとえ無償であっても個別の税務相談を受けたり申告書を代筆したりすると税理士法違反(ニセ税理士行為)となります。なので、知らないうちにニセ税理士行為を行っている方はさぞかし多いものと想像されます。
特にニセ税理士が多いのが、税理士事務所職員やそのOBだと言われます。こういった人材が知人達に有償無償で税務サービス提供したり、生損保、各種コンサル、不動産、金融、証券等の業界に転身してニセ税理士行為に踏み込んでしまう、という図式のようです。多くは罪の意識なしに行為に及んでいるのだと思われます。
ただ、どの業界にも言えることですが、一流の方ほど業法を遵守する傾向にあり、本業がパッとしなかったり無くして困る資格の無い者ほどニセ税理士行為に走るケースが多いように見受けられるのは、まぁそうだろうなって感じですね。
念のために、税理士事務所の補助業務従事者のうち税理士資格を持たない人については、事務所業務として所長税理士から都度指示を受け、報告、連絡、相談を行いながら業務を行った場合は所長税理士が命じて業務を行わせていることになる、とされています。
さすがに税理士を自称するニセ税理士は少ないが、無資格で税務相談を受ける程度のニセ税理士は本当に多いものです。税理士会の会員名簿は、各税理士会、会員事務所、各税務署に用意されており、さらに税理士会員専用のサイトにも在りますので、本物の税理士かどうかは税務署や当事務所に問い合わせて頂ければ確認出来ます。
税理士会関係の組織
なお、税理士会関連は下記のように国の組織とリンクして設置されています。
A・日本税理士連合会(国税庁に対応)
日本中の税理士会(下記)を束ねる会が日本税理士会連合会で、本部は東京都大崎にあります。マクロの見地から国税庁と相対し、税務行政の諸問題等について国家レベルで協議したりする組織でもあります。ただし、実務上はあまり用事は無く、私の場合殆ど行ったことが有りません。
余談ですが、法令違反等で処分を受けた税理士は国税庁のHPに、氏名、生年月日、税理士登録番号、住所、事務所所在地などが掲載されます(国税庁のリンクを貼っておきます)。
(nta.go.jp/taxes/zeirishi/chokai/shobun/list.htm)
普通の人間なら、こんな目に遭うと知っていたら幾ら貰っても脱税指南など行うはずがありません。税務調査で調査官とガンガンやり合おうとするなら、税理士自身も納税者も法的に「真っ白」な状態を保っている必要があります。じゃなきゃ、重い責任を全う出来ねぇじゃねぇか!と。
と、言う訳で、ドラマなどでは税理士が悪役にされることが多いのですが、本当は全く逆で、これほど法律的に真面目かつ臆病な職業は少ないと思います。その結果税理士全体が「取っ付きにくい」印象に見えているのでは無いかな?と思っています。少しでも後ろ暗いところが有ったら、調査官の言いなりになるしか有りませんよね?調査官なんぞの言いなりになる税理士なんて、え、、と(汗)
B・税理士会(各国税局等に対応)
国税局は、札幌・仙台・関東 信越・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本の11箇所。税理士会も概ねこれに対応して設置されており、北海道、東北、関東信越、東京、千葉県、東京地方、北陸、名古屋、東海、近畿、中国、四国、九州北部、南九州、沖縄と15か所が設置されています。私の属しているのは前述のとおり東京税理士会(東京会)です。
税理士会のほうが数が多いのは、例えば東京国税局のように会員数が多すぎる局の場合に、東京都の会員は東京税理士会、千葉県は千葉県税理士会、神奈川県の会員は東京地方税理士会、と幾つかに分けている場合があること。
また沖縄にも地理的な側面(だと思います)から単独の税理士会が設置されています。各地方における税務行政を管轄する国税局と、民間で納税者の立場に立って対峙する税理士会、という図式でしょうか。
東京税理士会の会館は代々木にあり、大ホールで各種の研修や会合などが行われるほか、会員登録事務、書籍売店、各種相談窓口、求職者紹介、各種機材のショールーム、喫茶スペースなどが備わっており、時々訪れる場所です。
特に書籍は他では見つけにくい専門書が豊富で、しかも値引き販売されているため、大変助かっています。その他、税務会計システム等の値引販売、集団扱いの生損保販売、住宅ローン保証、不動産情報、その他各種サービスが会員向けに用意されています。
またしても余談ですが、税理士会の会員名簿を見ると、事務所は東京でも住所は東京以外の方も多く、特に都心部の事務所では東京都民の割合が低くなっているようです。「東京税理士会」より「東京に通勤している税理士の会」と言う方が正確かもしれませんね。
C・税理士会各支部(税務署に対応)
各国税局の所轄で実際の国税業務を行うのが税務署です。これに倣って税理士会にも税務署単位で支部が設けられており、各会員の日常の便宜を図ることとしています。当事務所の所在する港区は芝税務署の管轄であるため、私の属している税理士会の支部は「芝支部」となります。
支部は、様々な研修の開催、地区の税理士の親睦、その他地元に根付いた組織で、様々なサービスの窓口にもなっています。例えば芝支部では、年末調整関連の用紙は一旦支部に集められ、各税理士事務所に配布されるなど、小回りのきいた業務を行ってくれるほか、芝税務署と租税行政に関する運営協議を行ったりもします。
開業25年を超えても、未だに私は年齢的には税理士の平均に届かない「中堅」的存在。支部に行くと御高齢で怖そうな先生方がたむろしていて、時折私に会の役職を打診されたりするため、用事等で行ったときは、そぉっと入ってスッと出てきます(笑)
税理士業務は税理士会の地域だけ?
税理士資格は日本の国家資格なのですが、業務に場所的な制限はなく、租税関連を中心とした業務に関し、日本全国だけでなく、国外居住者や外国法人様などからの相談や税務代理などの業務を引き受けることが可能です。例えば外国の企業が日本に進出するため事前に日本の税理士にリサーチをかける、などの例も決して珍しい案件ではありません。
逆に、日本から海外進出した後の本国における課税関係整備なども、当然ながら税理士の業務範囲。当事務所でも、日本全般、アジア各国、欧米、中東など、様々な地域の方とのお付き合いが増えてきました。そういった折に必要な各種データを税理士会が提供してくれる機会も増えています。
税理士業界の今後
平均年齢の高い業界ではありながら、税理士業界はITの発展に伴う技術革新を真っ先に取り入れて来ました。これは、数字の部分がコンピュータに最も乗せやすかったからというのが主要因、さらに租税業務に関して国や地方公共団体と連携が行われる環境であったというのも大きなファクターでしょう。一部の予測では近未来にはAI(人工知能)の発達によって税理士が不要になるという説もありますが、それほどAIが進歩するのなら、税理士より前に多くの経営者が不要になるだろうと私は思っています。何より、他の業界以上に税理士業界においては「出来る人材」と「出来ない人材」の差は拡がらざるを得ないでしょう。
実務レベルで言うと、原資料から帳簿への落とし込み、さらに元帳、試算表、決算書、内訳明細書、納税申告書、納税作業まで。意識するとしないとに関わらず、今の我々の仕事は事業等における日常実務から一連の申告納税に向かう証憑等の流れを設計し、統合するシステムを設計提供するという方向に向かっています。今はまだ不完全なクラウド系システムが登場し始めた程度で、過度なオートメーション化やオンライン化を急ぐのは事故の元と思われますが、今後ますますシステム設計力の有無が税理士の実力差と見られる時代になると思います。既定路線を守るだけで無く、発想力、着目力、そして実行力が試される時代の到来ですね。
外からは一見古臭く見えるかもしれない税理士業界、実は今はボーダーレス化の真っ最中、なのかもしれませんよ。
脱線続きながら税理士会御紹介の巻、ここまで。最後までお読みいただいた方々、誠にありがとうございました。
H29.8月FACEBOOK投稿より(一部令和3年改定)
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